プロペシアどんな薬?

プロペシアとは

プロペシア(一般名フィナステリド)は、メルク(Merck)社が開発しました。AGA(男性型脱毛症)治療に、世界に先駆けて発売された飲み薬です。日本では2005年に万有製薬(のちにMSDを経て、オルガノン社)から発売されました。日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインでも、プロペシア(フィナステリド)はAGA治療において強く推奨されています。長期的に使用する性格のある薬ですが、発売されてから20年近く経過し、多くのAGA患者の方々に支持され続けています。

propecia発売当初から処方

プロペシア概要

有効成分 フィナステリド 0.2mgおよび1mg
服用方法 1錠/1日(等間隔が理想)
効果発現 効果の判定まで少なくとも連続6ヶ月間の服用を要する
主な副作用 性欲減退3件(1.1%)・勃起不全2件(0.7%)
*国内にてプロペシアを投与した276例中
併用禁忌薬 なし
食事の影響 なし
禁忌(献血) 服用中止後、1ヶ月以上を経過するまで献血してはならない
禁忌(女性) 女性(特に妊娠の可能性のある、または授乳中)と小児は、服用できない。また、割った錠剤に触れてはならない
ドーピングリスト 「2023年禁止表国際基準」に記載なし
外装箱 プロペシア外箱
剤形 プロペシア錠剤
製造販売元 オルガノン株式会社

AGAの原因

AGA(男性型脱毛症)の主な原因物質は*DHT:ジヒドロテストステロンです。AGAで悩む男性は、脱毛箇所の頭皮に通常より多くのDHTが産生されます。このDHTが毛乳頭細胞と結合すると、毛髪の成長が妨げられ(*ヘアサイクル:髪の毛の成長周期が短くなり)その結果、うす毛が進行します。
*DHTは胎児期には男性器の正しい形成に欠かせない重要な働きを持ちますが、思春期以降はAGAや前立腺肥大など、好ましくない作用を及ぼすことがあります。

健康な人のヘアサイクル

ヘアサイクル健康な人
健康な人の髪の毛は3~5年の周期(ヘアサイクル)で代わる代わる生え変わり、一定の毛量が保たれます。

ヘアサイクルが短く(AGAの症状)

ヘアサイクルAGA
AGAに罹患すると、その原因物質であるDHTが産生されます。これにより髪の毛のヘアサイクルが徐々に短くなります。正常より短いヘアサイクルを持つ髪の毛の割合が増え、それに伴い毛量も減ってゆきます。

プロペシアの作用機序

プロペシア(フィナステリド)は、AGAの原因となる物質DHTの生成に必要な5α還元酵素を阻害することでDHTの生成を抑えます。この結果、うす毛の進行が抑制されることになります。この薬は作用機序から5α還元酵素阻害剤と呼ばれます。AGAによって徐々に短くなりつつあるヘアサイクルを、プロペシアが正常な長さに戻すことがこの薬の働きです。

ヘアサイクルが元に(プロペシア使用時)

ヘアサイクル治療時
プロペシア(有効成分フィナステリド)はAGAの原因物質DHTを発生させる5αリダクターゼの働きを阻害します。ヘアサイクルが短くなる要因が取り除かれ、健康な状態のヘアサイクルを保つ髪の毛が相対的に増えてゆきます。結果、うす毛が改善します。

プロペシアの飲み方

1日1錠を毎日服用します。服用する時間帯や食事のタイミングは気にする必要はありません。ただし、服用の間隔をなるべく一定にするため、また習慣化できるよう、一日に一度ご自身に都合の良い時間を決めておきましょう。プロペシアは長期的に飲む薬です。一日飲み忘れたからといって次の日に2錠飲む必要はありません。一日忘れただけで直ちに効果に影響が及ぶわけではありません。あわてず毎日1錠の服用をそのまま続けて下さい。*当クリニックでは1mgのプロペシアを処方しています。

毎日一錠

効いたかどうかを確認するために

毎日服用し効いている場合、早い方で約3ヶ月、一般的にはおよそ6ヶ月で脱毛の進行が止まって、増え始めます。ドライヤーで髪の毛を触っているときに、以前と違う手触りが感じられることで、効果を実感されることがあるようです。もし6ヶ月以上服用して効果が感じられない場合、服用の中止がすすめられます。ただし使用者の年代が比較的若い場合、1年以上の服用で効果が現れ始めることもあるので、継続的な使用を医師と相談して下さい。

プロペシア効果の確認

副作用について

現れる場所 主な症状
生殖器 性欲減退、精液量減少、睾丸痛ほか
肝臓 AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇ほか
その他 乳房圧痛、乳房肥大、抑うつ他

いずれも発生頻度は低く、たいていの方は問題なく服用が続けられますが、少しでも気になることがありましたら医師に相談して下さい。主な副作用はED・勃起不全(1%未満)や性欲減退(1〜5%未満)があります。もし起きても程度は比較的軽いものですが、この場合ED治療薬との併用の使用を含めて、プロぺシア服用の継続を医師と検討して下さい。また、精液量減少(1%未満)や頻度不明(自発報告あるいは海外での報告)で精液の質低下等の報告例がありますで、子供をつくる計画がある方は、念のため服用を中止したほうがよいでしょう。

アレルギー反応

ごく稀に、他に飲んだ後しばらくして、錠剤中の成分に対するアレルギー反応
(皮膚のかゆみや蕁麻疹など)が現れることがあります。この場合すぐに服用を中止し、医師に相談して下さい。

処方について

医師が診察のあとプロペシアの処方を行います。初診料・診察料は不要です。オンライン診察では所要時間10分程度です。現在の健康状態を確認しますので、使用中の薬があればもれなく報告して下さい。処方量が多いので、常に最新のロットの在庫があります。有効期限は約2年で、1年分まとめると割引が適用されます。(まとめ割引:12ヶ月分の価格で13ヶ月分処方まとめ処方

プロペシアの歴史

もともとは1991年メルク社で前立腺肥大の治療薬としてプロペシアの主要成分であるフィナステリドの開発が始まります。翌年に米国で前立腺肥大の治療薬としてプロスカー(5mg)の商品名で認可されました。その後の継続的な臨床試験で増毛の効果が報告されました。
そこで、これを目的とし改めて開発が行われることになり、プロスカーより低用量の1mgでも効果があることが確認されました。このような経緯で、米国では世界初の経口でのAGA治療薬として1997年に認可を受けます。日本では2005年に厚生労働省が承認。万有製薬から発売され、のち分社化などによりMSD社、オルガノン社に継承されています。

プロペシア変遷

ジェネリック登場

プロペシア錠のジェネリックは、有効成分の一般名フィナステリドとして、2005年にファイザー(現ヴィアトリス)から発売され、以降各社が続いています。ジェネリックの効用は基本的には先発薬プロペシアと同様です。長く使う薬ですので、経済的に服用を進めたい方にはジェネリックの利用がおすすめです。

製薬会社 錠剤外観
フィナステリド「トーワ」 東和薬品 フィナステリド東和
フィナステリド「TCK」 辰巳化学 フィナステリド辰巳化学
フィナステリド「VTRS」 ヴィアトリス *旧ファイザー フィナステリドviatris
*以上、当クリニック扱いあり
*ほか、沢井製薬、富士化学、クラシエ、シオノケミカル、武田テバ、江州製薬

外用薬など他のAGA治療薬

AGAの原因となる物質DHTの生成に係わる5α還元酵素には、主に頭皮に存在するⅡ型と、全身に存在するⅠ型があります。プロペシア(フィナステリド)はⅡ型に対して、次の世代のAGA治療薬ザガーロ(デュタステリド)はⅠ・Ⅱの両方の型に対して、その生成を抑えます。また、外用薬のミノキシジルは毛包周囲の毛細血管を活性化させます。(内用薬のミノキシジルは日本で認可されていません)。もうひとつの外用薬カルプロニウム塩化物も、頭皮の毛細血管を拡張させることで毛髪の成長を助けます。内用薬の併用はできませんが、内容・外用薬の併用はより一層の効果が期待できます。

ザガーロ外箱ザガーロほか ミノキシジル外用薬ミノキシジルほか

女性男性型脱毛症(FAGA)

女性のうす毛は生活習慣の乱れや加齢などでホルモンのバランスが崩れ、女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると髪の毛の成長期が短くなり、うす毛がゆっくりと進行します。男性ホルモンの派生物質DHTが原因で起こり、頭頂部やおでこから薄くなる男性型脱毛症AGAとは異なり、髪の毛の分け目から全体的に密度が低くなるのが特徴です。(びまん性と呼びます)うす毛の原因が異なるので、女性がプロペシアを服用しても効果はないばかりか、副作用等のデメリットしかありません。女性のうす毛は、医師と原因を相談したうえで、ミノキシジル外用薬などで対応することが必要です。

AGAとFAGA違い

必要な注意事項

  • 併用禁忌:プロペシアについて、併用禁忌・注意が必要な薬はありません。ただし診察時に、現在使用中の薬や、治療中の疾患があれば医師に報告して下さい。
  • 女性への注意:プロペシア(フィナステリド)は、胎児の男性器の形成に影響を及ぼすおそれがあるため、妊娠中または妊娠の予定がある女性が触れてはいけません。錠剤は表面が固くコーティングされ丈夫につくられているため、通常の扱いの範囲であれば触れても問題ありません。しかい錠剤を割ったり、砕けたりした場合は有効成分に直接触れることになるので、管理に注意を払って下さい。
  • 献血について:プロペシア(フィナステリド)を服用中の方は献血ができません。再開する場合は1カ月の休薬期間を置く必要があります。輸血を受けた女性の体内に入った場合、胎児の男性器の形成に影響を与える可能性があるからです。
  • 前立腺がん検診:前立腺がんの検診を受ける予定のある方は、検査時にプロペシア(フィナステリド)を使用していることを必ず伝えて下さい。前立腺がん検査で測定されるPSA値を約50%低下させるためです。
  • ドーピング:フィナステリドはかつてドーピング剤としてWADA(世界アンチ・ドーピング機関)から指定されていました。のちに検査技術の進歩の結果、フィナステリドの使用に関わらず、筋肉増強剤などの検出ができるようになったため2009年からは禁止薬剤のリストから外されています。このため現在はスポーツ競技を行う方も問題なく使用できます。

プロペシアの偽物に注意

インターネットでの買い物が一般的になり、一部ではクリニックのようにもみえる個人輸入の代行業者が増えています。しかし偽造医薬品も数多く流通しており、厚生労働省や製薬会社も正確な状況を追いきれていないのが現状です。AGA治療薬は長期的に使用する薬なので、もし事故があった場合の影響も大きくなる可能性があります。この場合「医薬品副作用被害救済制度(PDMA)」の対象とはならず、薬剤が原因の健康被害への給付金を受け取ることはできません。処方薬は医療機関で、医師の指導下で使用しましょう。

国内未認可のAGA薬名の例
フィンペシア フィナックス フィナロ プロスカルピン フィライド フィンサバ フィナロイド ハリフィン エフペシア フィナバルド フィンカー

プロペシア ほかAGA治療薬のオンライン処方

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